最近の無かった事にした小さなクレームたち!

客相手の仕事をしていると、大きなクレームから小さなクレームまで、とにかくクレームが発生するのは避けられません。それはビルを相手にしているビルメンも同じ事で、設備の不具合→使用する人たちが不愉快になる→クレームというのが多く発生します。

ただ、ビルメンのクレームは「オーナーからクレームを受けるのか」「テナントやビル使用者からクレームを受けるのか」でだいぶ意味合いが変わってきます。オーナーからクレームを受けたら、「あれ?犯罪行為でもしたのかな?」と思うぐらい事務所がざわつきますが、それ以外の人からクレームが来たら「あ、はい」みたいな感じで軽く受け流す事がほとんどです。なぜかというと、そういうクレームって全然たいした事じゃ無いのがほとんどだからです。そういうクレームに律儀に対応してたら精神共々参ってしまいますので、そういうのは、ほどほどに対応します。(もちろんオーナーにまでクレームが行きそうな内容だったら全力で対応しますが・・・)

そしてほどほどに対応したクレームに関しては、「無かった事にした」ものもいくつかあります(笑)。無かった事にしたということは、所長に報告をしなかったという事です。もちろん、全体共有なんてしません。したところで「じゃあどうすればいいの?」的なことばかりですし、それを聞いた所長も「で?どうすればいいの?」という感じになるものばかりだからです。

そういうわけで今回は、最近の「無かった事にしたクレーム」をいくつか紹介します。

エレベーター停止のタイミングが悪くてクレーム

僕のビルは23時にテナント階に繋がるエレベーターの運転が停止します。それ以降の時間は、夜間通行口に繋がるエレベーターを使用してもらいます。(それは24時間使用できる)

通常エレベーターを停止させるのは、警備員がPC上で手動で停止をします。ただ、エントランスにエレベーターが止まるのは時間制御によって自動で切り替わり、地下の夜間通行フロアに降りるようになります。通常の動きだと、22:59まではエレベーターがテナント階からエントランス階まで行きますが、23:00以降はそのエレベーターは警備員によって手動停止されているので使用できず、夜間通行用エレベーターを使用してもらう事になりますが、23:00の時点でもしエレベーターを使用している客がいた場合は、急に停止をするわけにはいかないので、地下の夜間通行フロアまで行き、人を下ろした後、それを見計らって警備員がそのエレベーターを停止させるという流れになります。

ただ、クレームがあった日は23:00以降も通常エレベータを使用する人が多く、なかなか複数のエレベーターを手動停止する事が出来ていませんでした。

そして1組の帰宅グループが通常エレベーターを呼びボタンで呼んだところ、通常は来るはずが無いエレベーターが来たわけです。(ちなみに、23:00以降は通常エレベーターが使用できないはずなのでほとんどの人は夜間エレベーターを使用します)

その人は「お!ラッキー!」と思ってエレベーターに乗り込んで「エントランス」ボタンを押しましたが、ランプは点灯せず。それもそのはずで、制御によって23:00でエントランスには行かない設定になっているからです。そして扉は閉まり、自動で地下の夜間通行口フロアに下されました。

普通だったら「あれ?地下階に下ろされたわ。まいっか」ぐらいで収まると思うのですが、どうやら地下階に下ろされた事が相当気に食わなかった様子で、防災センターに駆け込み

「おい!!なんでエントランスに行かないんだ!!どうなってる!!!」とクレーム!!

とりあえず「責任者を出せ!!」とご立腹。夜の責任者は・・・残念ながら宿直者である自分なので、とりあえず、23:00にはエレベーターの制御の仕様でそうなる旨を伝えると、「だったらそんなエレベーターを寄越すな!!!!」とさらにお怒り。

「あ、めんどくさい」と思いつつ、さてどうするかな・・・と思って相手の目をじっと見ると、ピンと来ました。これはとりあえず理由は関係なしに謝罪さえすれば良いタイプやな

「ご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした」ペコリ

そういうと、特に何も言わず、去っていきました。ちょっと癪ですが、こっちが謝れば納得するタイプだったので楽でした。(周りに部下らしき人も見ていたので、とにかくこのおっさんを立てるような返答をすればOKなわけです。単純ですね)

「23:00以降はこのエレベーターは使用できませんってエレベーター前に貼ってありますよ」「カゴ内にも、23:00以降に乗り込んだ場合は、地下階に下ろされるって旨は書いてありますよ」とか言っても無駄です。とにかく「俺は間違えていない、悪いのはお前ら」と感じている人に何を言っても無駄なので、そこはさっさと謝ったほうが早いです。(そこから更に助長する場合もありますが・・・)

この件については、いろいろな偶然が重なったクレームで、相手もとりあえず謝ればOKみたいな感じだったので所長への報告はせず。なのでこのクレームに関しては闇に葬りました。バイバイ!

新人が正しいことを伝え過ぎてクレーム

僕のビルはとにかく細かいルールが多く、特に居住区への引越し作業に対して厳しいです。しかし、ルールを全部守って引越し作業を業者にやってもらう事になると、そ〜〜〜〜〜とう反感を買います。なので、最低限の養生とかをしてくれればあとは立ち合い者の匙加減です。

ただ、この匙加減が難しく、立ち合いをした新人が気が強いタイプだったので「あれはこうしろ」「これはこうじゃなきゃダメ」と合間合間に注意し続けて、最初は指示に従っていた業者もだんだん作業が遅れるものですから最終的には「こんなんじゃ仕事になんねぇ!!」とキレてしまいました。

そしてこの時の新人の対応がさらにマズく、そのセリフに追い打ちをかけるように「じゃあ帰ってもらっていいですよ」と一言。その言葉にさらに業者の怒りはダイマックス。気になって様子を見に来たIさんがその場をなだめ、なんとか大きなトラブルにならずに済みました。まぁ、これは新人が悪いというより、ルールに寛容さが無いのが悪いですが、新人ももうちょっと柔軟に・・・ねぇ・・・。

その点、Iさんはそういうのが上手く、5分ぐらい業者と会話して「じゃあここはこうやってもらって・・・」とそれぞれの妥協案を話し合い、うまく捌いていました。この事についても特段、所長には報告せず。ただ、「ルールが多過ぎて業者も大変ですよ」ぐらいは言っても良かったかもしれない。

暗過ぎてネックレスを落としたのよ!とクレーム

夜に防災センターに「あなた方のビルの周辺が暗いからネックレスを落とした!!」というクレーム電話が。

あ、これはまともに相手するとバカを見るやつやな・・・と感じ、一応それっぽく対応。事情を聞くと、「出先から家に戻った時にネックレスが無いのを知った」「どこかで落としたに違いない」「記憶では、このビルの通りが一番暗かったからそこに落としたかもしれない」「暗かったから落とした」「このビルのせいだ!!」という事らしく

うそでしょ?ってのが最初に感じた感想

しかも、このビルの付近でネックレスを触ったりしたわけでは無く、完全に濡れ衣状態です。

「ネックレスを発見したら連絡するように!!」と一方的に伝えられ、電話をガチャリ。ど・・・どこに連絡をすれば良いのでしょうか・・・????

う〜ん・・・とりあえず・・・無かった事にしよう

そのあと、特段外にネックレスを探すわけでもなく、しばらくしたらこの電話があったこともすっかり忘れていましたとさ(笑)

後日、夜に外を歩いてみたら、確かに暗くて笑っちゃいました。なんでこんなに暗いんだ、うちのビル。

ほどほどに対応しよう

ビルメンの仕事をしていると常々思うのが、なんでも「ほどほど」にしておかないとキリが無いということ。ビルメンは広く浅くの世界なので、あまり一つのことに固着していると、まったく前に進めません。「これはマジでヤバいやつ」「急がないとヤバいやつ」「対応したほうがいいやつ」「様子見でいいやつ」「無視」のどれに属するかを瞬時で判断し、対応するのが大切です。

それに、「すべての事項が解決してみんなハッピー!」なんてこと、仕事ではまず無いです。三方よしの考え方は立派ですが、それを考えるのは僕らよりもっと上の立場の人間です。僕らはとにかく「現状維持」を目標にやっていければOKです、それはビルメンになってからヒシヒシと感じます。

皆さんも「ほどほど」に頑張っていきましょう。ではでは