ビルメンの事務作業とは?

突然ですが、ビルメンの仕事と聞いてパッと何を思い浮かべますか?

「ビルメン 仕事」と検索すると、設備の管理や検針、清掃などと書かれており、一般的には現場で何かトラブルがあったらドタバタ走りまわり、あとは機器の電力量などを検針して記録表に記載して・・・みたいなイメージが強いと思います。

概ね合ってはいますが、実はビルメンは事務作業もそこそこあります。この事務作業について、あんまり深く書いてあるサイトが無いような気がしたので、今回はビルメンの事務作業について書いていこうと思います。

作業報告書【面倒レベル★★★】

お金がかかった作業(部品購入や業者を呼んで作業した場合など)を実施した際に作成します。基本的に作業を実施した、もしくは立ち会った作業員が作成します。

報告書の構成としては「1:なぜその作業を行うに至ったか」「2:なぜその作業をやる必要があるのか」「3:その作業をしないとどんな問題が起きるか」「4:作業の内容」「5:作業が完了して、最終的にどうなったか」を盛り込みます。もうこの時点で色々と面倒ですね

簡単な作業や過去にやった様な内容だと、作るのはそれほど難しくはないですが、初めての作業・複雑な作業の際は、報告書作成の難易度が跳ね上がります。頻繁に発生する作業の場合、過去の報告書から似たのを引っ張ってくればいいのですが、初めての作業だと一から作成しなくてはならないので非常に面倒です。

また、作業中や交換部品の写真なども報告書に貼り付けないといけません。自分で交換作業をする場合は、自分のペースで写真を撮れるのでいいのですが、業者がやっている作業だと、「写真撮っていいですか?」とい許可をもらい、一度作業を止めてもらって写真を撮る必要があるので結構気を使います。初めて現場に来る業者だと「そんないちいち止められてたら作業終わんないよ!」と嫌味を言われる事も多々あります。

また、作業前に最初に「交換部品の写真を撮りたいのでその部品を取り出した時に声を掛けてください」と頼んだのに、もうどんどん作業が進んでお目当ての部品はすでに機器の中・・・という事もあるので気が抜けません。

また、なぜ交換するのか、どうしてその部品が壊れたのかを具体的に記載しないとオーナーに「何これ?」と突っ込まれます。基本的に「固着」「経年劣化」という素敵なキーワードでかわせますが、交換して間もない部品が壊れた場合は面倒で、業者から「初期不良である証明」的な見解をもらったりする必要もあります。

基本的に、ビルメンの事務作業はこの報告書が大きい割合を占めていると思います。この報告書がいい加減な現場は、結構管理もいい加減なような気がします(あくまで個人の意見です)

見積作成【面倒レベル★★★★★】

面倒臭いです。マジで面倒臭い。なぜビルメンになってまで電卓を叩かなければいけないのだ

詳しくは上で書いてます。

ただし、この作業は、最初の作業報告書のように誰しもがやるというわけではなく、見積ばっかりやってる人もいれば、全くやらない(やったことがない)人の2極に分かれているような気がします。重鎮が見積やっているのを、この4年一度も見た事ないし。

ちなみに、将来的に出世をしたいのであれば、見積作成のスキルは必須とのこと。まぁ、所長とか副所長レベルになったら見積が出来なければ(もしくはわからなければ)話になりませんからね・・・。専属の事務員がいればいいのですが、そんな人員に余裕があるわけでも無いので、基本的に現場員がやる感じです。会社としては「事務だけ」出来る人より「現場のも事務も両方出来る」人を育てたい!というのを大々的に言ってますし・・・。まぁ会社としても両方出来る人間の方がお得ですよね。その方が人件費もお得ですし。

マニュアル作成【面倒レベル★】

現場で初めての作業をし、今後もその作業をする可能性がある場合などに、マニュアルを作成したりします。基本的にマニュアルが大量にある現場は良い現場だと言われていますが、僕の現場ではあまりにも色んな人がマニュアルを作り過ぎて、どのマニュアルが正しいのかわからなくなったりしています(笑)

マニュアル作成は、僕は好きですね。基本的に図とかイラストとか載せて「ちょっと凝りすぎじゃ無い?」と言われるぐらいまで作るのが好きです(笑)。(あとで見直すとちょっとくどい感じに見えますが・・・)

僕の現場では「こうやって作れ!」みたいなテンプレは無いので、製作者の個性がモロに出ます。基本的にエクセルで作るのですが、図とか矢印とかを入れる場合は、僕はパワポで作ってます。エクセルだと印刷した時に、絶妙に図がズレたり、文字が途切れたりするのが嫌で、その点パワポはそういった事が無いので重宝しています。

ただマニュアルは時には重要な書類として扱われる事もあるので、あまりおふざけも出来ません。例えば作業中に事故が起きた際に、どんなマニュアルを使用していたか問われる事があります。そうした時に、作業の注意事項などが盛り込まれていないとお偉いさん方にバカスカ詰められるので、そういった点を盛り込み忘れないように注意します。

伺書作成【面倒レベル★★★★★】

これもクソ面倒臭いです。

これも、詳しくは上で書いています。

要するに、査定会社に「この見積は正当です!」というのを証明する為に提出します。3つ提出したら1つは絶対に難癖つけて返されます。

なので、最近は本命の伺書は丁寧に作って、どうでもいいやつは適当に作り、査定会社に「こっちの伺書はいいけど、これはなんだ!やり直し!!」という風にワザと誘導する作戦を実施しています。こっちは「へへ!すいやせん!(計画通り!)」という感じです。

はぁ、嫌な大人になったものだ。

テナントに提出する資料作成【面倒レベル★★★】

これは多岐に渡ります。例えば、防災訓練があるのであれば、防災訓練の内容を書いた書類だったり、ビル全体で実施する工事の内容についての書類だったりです。

僕の現場では、消防・空調・衛生・・・など、それぞれ担当が分かれているのでその担当者が資料作成をします。ちなみに僕はエネルギー関連の担当者なので、毎月テナントにそれぞれのエネルギー使用量などの資料を作成して送付しています。

これは、ビルメンになって中堅になったらやる作業だと思います。作成するのはいいのですが、メールで飛ばす時に「CCには〇〇専務は入れないで個別で送って!」とか「〇〇テナントはそれぞれの課に送って!でもA課の方はB課よりも1日遅れて出して!」など、メールの送付ルールの方が面倒臭いです。先週はその宛先でOKだったのに、今週からは別の宛先にしなくちゃいけないとか、いちいち覚えてられませんよ。

在庫管理【面倒レベル★★★】

作業などで使用した部品の在庫数などを確認します。もし数が少なかった場合は、見積を作成して、オーナーにお伺いを立てて購入します。ただ在庫数を確認するだけでしたら、そんなに面倒では無いのですが、見積を取らないといけないステップに行くと急に面倒になります。

Vベルトとかを「そろそろ替えるか〜」って思ってても、「でも在庫表を更新して、また見積をもらって注文して・・・」と考えると色々面倒くさくなり「ま、まだいいか・・・」となる事も少なくはありません。

点検表更新【面倒レベル★】

いつも使用している点検表も、いつしか「この項目ってやる必要あるの?」「逆にあの項目は追加しなくちゃダメじゃない?」みたいな事が起きます。いつまでも同じ点検表を使うのではなく、たまにはアップデートしなければいけません。タイミングとしては、大量に印刷してある点検表のストックが無くなったタイミングで更新する事が多いです。

ただ、点検表を更新するのは良いのですが、あまりにも変え過ぎてしまうと「わかりづらくなった!」とベテラン作業員からクレームが飛ぶことになるので、事前の確認and作成後の周知は必須です。

ビルメンは結構、事務作業が多い

・・・とまぁ、ざっと書いてみましたが、大まかにビルメンの事務作業はこんな感じです。

これ以外にも、業者とのメールでのやりとりとか、業務日誌作成などもありますが、大きい事務作業はこんな感じです。あとは契約書作成とかもありますが、そういうのは所長・副所長の仕事なので僕はよくわかりません。ただ、ポジションが上がっていくに連れて、事務作業>現場作業になるのは間違い無いでしょう。

事務作業は慣れなのか?

前回のコメントで、「事務作業は慣れるものなんでしょうか?」という質問を頂きました。

これって、結構難しい話だと思います。そもそも、「よ〜し!見積とかの事務作業をバリバリやる為にビルメンになるぞ〜!」という気持ちでビルメンになっている人っていないと思います。

なので、事務作業が苦手だったり嫌いだったりするのは、全然不思議ではありません。むしろ事務作業がバリバリ得意で好きだったら、「ビルメンじゃなくて他の会社に事務として入った方が良く無い?」と言われてしまう可能性もあるぐらいです。

僕は会計事務所から転職してビルメンになったクチなので、事務作業に対してそこまで抵抗はありませんが、ただ会計業務が嫌で転職した面もあるのに、今また電卓をカタカタ叩いていると「あれ?」という気持ちになります。また会計自身に苦手意識があるので、見積などはしょっっっっっっちゅう間違えます、というか今まで一発で通った事がありません。何かしら「修正せよ」という御指摘をいただきます。

ただ、会計事務所にいた頃に比べると、ビルメンの事務作業って「自分が放り投げても最悪誰かがやってくれる」という点があるのが良いところだと思います。会計事務所では、それぞれ個別にお客さんがついており、完全に個人でやる仕事でしたので、自分が仕事を進めないと一切進まないし、何かわからなくて他の人に質問しても「いや、俺はわからないよ」と突き返される事が多かったので、ビルメンの事務作業はそれに比べるとだいぶ気は楽だなぁとは感じます。

まぁ、事務作業は慣れていく他無いと思います。ビルメンで事務作業が完璧に出来ている人って、前職で事務方をやっていたか、事務作業特化で採用されて徹底的に叩き込まれた人ぐらいじゃないでしょうか。

僕の現場でも、新リーダーは現場は出来ますが、事務作業はめっぽうダメでした。

今ではそれなりに事務作業をやっているので、やっぱりこれは場数を踏んで慣れていくしかないと思います。

全国の事務作業苦手ビルメンのみなさま!頑張りましょう!

ビルメンを目指している方は・・・

そういうわけで、ビルメンは意外と事務作業が多いという話でしたが、ビルメンを目指している方々は、ビルメンも普通に事務作業があるという事は、頭に入れておいた方が良いかもしれません。

事務作業が壊滅的に嫌いで、現場に常に出ていたい!という人はビルメンに来ると「あれ?なんで電卓叩く必要があるの??なんかデスクワーク多くない????」と困惑してしまうかもしれません。逆に「ビルメンって事務仕事多いんだ!」と思ってビルメンに来たら「じゃあ汚水槽の清掃をするから!」と言われてデッキブラシを渡されたら、これまた困惑してしまうかもしれません。

そう考えると、ビルメンの仕事って、現場よりの仕事なのか事務よりの仕事なのかイマイチわかりませんね・・・。「検針値を取ってあとは防災センターで待機!!」という夢のような現場もあるようですが、そんな現場は空きが出ないから夢のまた夢だと思った方が無難です。実際は、現場も事務仕事も両方やる現場の方が多いと思います。ビルメンに夢を見るのは禁物です。

コメント

コメント一覧 (4件)

  • 現場の責任者を3年程やってますが、見積もり書は作った事がありませぬ…(齢36)。というのも、別の部署の人達が作っておりまして、作る機会がありません。いつか見積もりを作る現場に転勤になった場合の事を考えて、作り方を覚えたい気持ちはありますが…。

    • こんな記事を書いといてアレなのですが、別の現場からウチの
      現場に異動してくる人たちは「見積りなんてやった事ないよ〜」という人が
      ほとんどなので、もしかしたら現場員が見積もりをやる現場は少数なのかもしれません。
      ただ、見積もりは完全に慣れの要素が多いと思うので、見積もりをやる現場に異動になった際に
      取り組めば大丈夫だと思います!

  • こんばんは。
    前回コメントで事務作業慣れるもんどすか?とコメントさせていただいた者です。
    貴重なアドバイスありがとうございます。
    やはり場数なんですね。私事ですが電話対応から始まり、事務作業はいつもミスばかりで私はそもそも人間に向いてないのかなぁと酷く落ち込んでしまっておりましたが、青村様のおかげでまた頑張って生きようと思えました。ありがとうございます。
    また今年、ビル管理士を初受験する予定です。青村様も今年受験される予定だと存じます。ご健闘お祈り致します。
    長々と失礼致しました。

    • ミスが続くと気持ちも落ち込みますよね・・・。でも場数をこなしていけば案外なんとかなるのも
      事務作業だと思っています。お互い頑張っていきましょう!
      (あとビル管も・・・頑張りましょう・・・(笑)←僕はあまり自信がない)

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